「れもんの花」 神野紗希

石鹸玉団地の窓のいずれより
小包来れもんの花の咲く頃に
水晶の一粒重し更衣
別れたしあんみつの餡えぐる匙
近づいてきては離れてゆく水母
金魚すくい水の重さを持ち帰る
この風がいつか空吹く桐の花