2012年7月1日

虹を待つ翅音のかすか虹はまだ

虹を待つ

「虹はなぜ虫扁なんだろう?」と句会のとき誰かが言うので、「それはむかし中国で、たくさんの虫がトンカチトンカチ地面から築き上げるのが虹、と信じられていたから」と、私の答え。「ああ、なるほど、大蛤の吐いた息が蜃気楼、みたいなことか」

しかし、じつはこれ、口からでまかせで、虫は蛇・竜のことで、工は横に架かるといった意味だそうです。

けれども、虫が一所懸命、熟練の大工や鳶よろしく、虹を建築している図は、なかなかにかわいらしく、捨てがたい妄想ではあるのです。

こんにちは。西原天気と申します。今日から七月末まで毎日一句、俳句を掲載していただくことになりました。

さらに、毎日の一句に、短文あるいは写真を添えよ、というご依頼です。これが難しい。虫のウンチクを語るのが順当かもしれませんが、あいにくそんな知識はありません。困ってしまい、しばし考え込んだ結果、あとさき考えずに、気ままに行こうと決めました。身の回りのことを書く日もあれば、俳句のことをお話する日もあると思います。写真に頼る日もあれば、引用でスペースを埋めたりもします。

毎日掲載する一句と短文あるいは写真とのあいだにの関連についても、あまり気にせずに行きます。関連を探す楽しみは、書き手の私ではなく読み手のあなたにある。と、これは無責任なようですが、世の中、そんなものです。それに、「書き手よりも、より良く読む」読み手の存在を信じないことには、とりわけ俳句なんて書けません。

まあ、そんなこんなで、七月いっぱい、どうぞ、膝をお崩しになって。よろしくお願いいたします。