一顆ずつ灯る巨峰を食ひ尽くす
94.1キロ(8月31日計測)
「それ人間じゃないよ、豚だよ豚」
計測初日、以前の計測(7月頃)より2キロ増えていたことがばれ、妻に世にも恐ろしい冷ややかな声で叱咤激励された。高校時代はスマートではなかったものの、運動会の棒倒しでスクラムを組み相手の棒に突っ込む「団子」の「エンジン」となり、100キロ級の巨体の同級生2人を後ろから押して加速させすさまじい威力を生む原動力として期待されていたのに。大学時代は「こう見えて70キロないんだよ」が口癖だったのに。
幸せ太りだねー、とも言われなくなりつつあるこの現状を打開するためには、1か月間体重を計測しそれをインターネットにアップし続けることで自らの恥部を公開するのほかにしくはなし、と思い切ってスピカの場をお借りし、体重計日記をつけることとした。文学者たるもの、自分のプライベートを切り売りし、人が最も隠したがる自分の素顔をむしろ暴き立てることで世に新しい価値観を問うという意気込みだ。
そもそも、これだけ体重の増加を許した要因はなんだったのか。
就職してから時間が不規則になったことで真夜中に夕飯を食べることが多くなった、とか、一人でご飯を食べるときにはラーメンとカツ丼と牛丼とカレーというローテーションで回していた食生活がたたった、とか、三度の飯より炭水化物が好き(あれ、何か違う)、とか、ファミリーマートに入ったら必ずファミチキを手に提げて出てくる、とか、午後の紅茶の無糖は見ないふりをする、とか、アイスよりゼリーの方が体に良いはずだと自分に言い聞かせてゼリーを買う、とか、牛丼の特盛りはあきらめも大盛りはあきらめられない、とか、挙げればキリはない。
食生活の改善、これだ。「こう見えて100キロないんですよ」で驚かれているようではいけない、この1か月で何かが変わるように努力しなければ。
そういうわけで取材先からいただいたとても甘い巨峰は目の毒なので、すぐさま僕の腹の中に納めることにしたのだった。