2014年8月28日

しろがねの波を呼ぶなり夕野分

メーカー :Waldmann
名   称:90th Anniversary Pen, 限定 101/250
ペン先  :18K, M
軸など  :ボディ:スターリングシルバー、クリップ/天冠/リング:ロジウムメッキ、天然ダイヤ3個、特製の箱・インク付
吸入方式 :吸入式
購入日時 :2008/7/28

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 昨日に続いてシルバーの万年筆を。こちらは軸からキャップまですべて純銀製。

 銀の万年筆を得意とするメーカーはモンブランやウォーターマン、シェーファーなど大手を除くとイギリスのヤード・オ・レッド、イタリアのフェラーリ・ダ・ヴァレーゼ、ドイツではこのヴァルドマンとなろうか。シュヴァルツヴァルト(黒い森)地方の会社である。

 銀製品についてイギリスにはホールマーク法というものがある。国家が銀製品の品質を保証しホールマークと呼ばれる刻印を押す制度で1300年頃から存在する(法律は1975年)。銀の純度が問題とされ92.5%以上のものだけがスターリング・シルバーを名乗ってよい。所謂シルバー925とはこのこと。他の国にもホールマークや925の刻印はあるようだがイギリスほどきちんとした制度にはなっていないようだ。このペンにも「925」の刻印だけがある。

 ヴァルドマンはさほど有名でもなくデザインも優れているとは言い難いが、銀メッキではなく純銀製品が多い割にコスト・パフォーマンスはいい。このペンが創立90周年を記念して作られたことでも分かる通り歴史は古く、熟練のクラフツマンの手になる製品の質は高い。世界に先駆けてツイスト式の4色ボールペンを作り上げたのもこのメーカーだそうだ。

 このペンは純銀製のボディーに刻まれた波模様が美しくクリップやキャップの一部にだけ施された青いエナメルがアクセントとして魅力的。吸入方式はこのメーカーの普通の万年筆に採用されているカートリッジ/コンバーター両用式ではなく本格的なピストン吸入式である。モンブランやペリカンと同じ方式でドイツらしいメカニックの質の高さを感じる。