2011年7月1日

放胆な仕草で氷あずき喰う
  
「あーなんか俳句の文章とか書くの嫌い。だって馬鹿がばれるもん。ねーねーノニノニあたしの代わりに書いてよー」と御中虫がベッドの上でごろごろ横転しながら駄々をこねるので、しょうがなく私が筆を執ることにした。申し遅れたが私の名はノニノニ、兎の一種である。正確にはアメリカン・ファジーロップという品種で、ご覧の通り(TOP画像参照)一般的な兎よりも圧倒的に毛がふさふさしている。ちょっと見たところでは毛玉のお化けのようであるが、れっきとした兎である。またついでに言っておくと、ノニノニというのは略称で、正確にはノニノニ・ロトチェンコ・バッハローマ20というわけのわからない名前をつけられている。しかしそんなことは名付け親も忘れているだろう。
  
さて、俳句である。私がこの家に飼われてきた時は、ちょうど御中虫が俳句賞を受賞した直後だった。奴はそれまでたいして人から褒められる人生を送っていなかったので、結構嬉しかったらしく、賞金の30万円で無駄な買い物をしまくってげらげら笑っていた(その「無駄な買い物」のひとつが私である)。同時にいくつかの俳句誌から原稿依頼が来て、二つ返事で受けていたが、あとから原稿料の安さにぶち切れていた。依頼が来るだけでもありがたいというのに、心の狭い虫である。
  
受賞して約1年が経過した今、原稿料のことはもうあきらめたようだ。怒るのも早いがあきらめるのもはやい。
  
そのかわり今後は好きな仕事しか引き受けないと言っている。きさまどこの大御所やねんってかんじだが、spicaの仕事は好きだから引き受けたのだろう(なぜならメンバーにかわいこちゃんがいる!)。
今回の趣向は、毎日1句、虫句を掲載していただき、それを一カ月続けるというものである。
  
そんなに毎日虫句を見せつけられて、読者さまは飽きないのだろうか…兎なりに心配してしまうが御中虫は「大丈夫。いやなら見なきゃいいんだよ」と言って太極拳の練習に余念がない。うーん。そうか。そうなのかなあ。
  
ところで揚句についても一言触れておく必要があるだろう、曲がりなりにも俳句サイトだ。
かつて御中虫は氷あずきが嫌いだった。そりゃもう鬼の仇の如くに嫌いだったらしい。
それがあるときを境にして、「氷あずきってば結構ウマイじゃん」と思うに至る。  

「そのきっかけはなんだったの?」
「さあ?なんとなくだよ。ま、強いて言うなら大人になったってことじゃない?ふふん」
「『放胆な仕草』ってのは?」
「マアあれだね、ノースリーブにパンツ一枚でさ、足広げて、腕に滴る氷あずきをべろべろ舐めるってかんじよ」
    
それはただ行儀が悪いだけでは…。
  

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