2015年4月15日

輪をくぐる愛しき蜂と寂しき火

燃やすことが火の本質にほかならず、燃やさなければそれは火ではない。一見そう言ってもよさそうに思える。しかし、火は自らを燃やすことはできない。火は自己閉鎖的に存在することはできない。燃やされうるもののすべてを、火は燃やすことができる。しかし、火が燃やせない唯一のものが火である。火が火であるためには、炎という囲いから周囲の場へと拡がらなければならない。火の元がその周辺へと移って初めて、火は燃やすことができるようになるのである。

ハル・フォスター編(2007).『視覚論』榑沼範久 訳 平凡社 pp.144-145