2015年6月6日

梅雨晴やスプーン噛んでいるばかり

夏はいつもアイスと梅干ばかり食べ、やたらと冷蔵庫を開け閉めしていた。大学生の頃は、ワンルームに住んでいて、ベッドと机と冷蔵庫を置いていた。一日中家にいる日は、冷蔵庫が唯一私の身近にある生き物らしき存在だった。時折唸ったり、側面に熱を帯びているのだ。
大学3年の夏の終わり頃、思い切って電話をかけた。しばらく着信音が鳴り、女の人が出た。二風谷に住むアイヌ民族の女性活動家、アシリ・レラさんだ。
あるエッセイ集にこの女性の元を訪れた話が書かれていて、私もこの人にお会いしたいと思い、著者に連絡し電話番号を教えてもらったのだ。レラさんは「はいはい、わかった。じゃあ気をつけてきなさい」と明るい声で言い、電話が切れた。冷蔵庫のうんうんと唸る音に、アイスを取り出して再び二風谷を訪れることができるのを喜んだ。