姿見の四方真白なる夏夕べ
昼でも夜でもない時間、夕方に佇むことが苦手だった。幼い頃、昼寝からさめた時、レースのカーテンの先は、しんとした青色で、世界の気配が消えてしまっていて、タオルケットの皺の影すらもなんだか怖く、あ、取り残されてしまった、と思ったあの感覚。青色に自分が滲んでいってしまうような、心もとなさ。
そんな夕方の部屋で、私はふただびレラさんに電話をしていた。バスを降りてから、家までの大まかな説明は受けていたのだが、出発の前にもう一度確認するためだった。「バスを降りたら山側に渡って、道沿いに歩くと坂道があるから、そこをのぼりきったところだよ。気をつけてきなさい。」細かい道はよく分からないけど、まあ行けばわかるのだろうと思い、お礼を伝えて電話を切った。青色の部屋の中、灯のような声の人だと思った。