颱風が地球に貼つてある厚さ
隅っこが好きだ。連載早々に登場したサヨリヤドリムシちゃんに心惹かれたのは、たぶんそのせいだと思う。なんだかよくわからないけれども、隅っこは安心する。だから隅っこにはがらくたも集まりやすい。我が家の食卓の一辺は壁にくっついていたのだが、本や書類が凭れてしまっていた。食事の際には隙間を見つけて皿やコップを置くのであるが、ソーダ水やらサイダーやらが方程式を濡らすといった風情は文字通り茶飯事だ。惟うに、隅っこは堕落のはじまりである。
この前、家に人が集まる機会があったので、それに合わせて壁にくっついていた食卓を部屋の真ん中に移した。それからというものの、食卓の上は常に片付いていて驚きである。代わりに一掃された紙の類はソファーの横になだれている。その様は凡そ軍艦島を想像してほしい。惟うに、堕落を正せば新たな退廃を招く。
隅っこが好きだった高校生の頃のぼくは、さらに隅っこを求めた。東京駅が通学の乗換駅であったが、その中でも京葉線のホームが好きだった。京葉線のホームはJR東京駅のなかで最も深い地下にあり、どこか薄暗い気分がするのでお気に入りだった。東京駅の山手線ホームよりも、隣駅である有楽町駅の山手線ホームに近いらしい、なんて噂があるくらい隅っこ感にあふれている。ホームに降りる途中に馬鹿デカい空間があるのも、謎めいていて惹かれる。京葉線ホーム近くにはトイレがいくつもあるが、その中でもプラットホームの八丁堀駅側からのぼったところにあるトイレは光に満ちている上に人の気配がない。ディズニーランドに行く際は、ここで用を足してから向かうと特別な気分になれるのでオススメだ。