2015年10月1日

無造作に豚運ばれてゆく炎暑

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 フィリピンに来ています。
 何年か前、Webマガジン週刊俳句の連載で「南洋の写生 井岡咀芳『南洋のたび 咀芳句日記』」という記事を書きました。日本が南方に野心を持っていたころ、ジャワ他を旅した人物が自費出版した句画集について、同じ頃にパラオに行った中島敦を補助線にして書いたもの。その終わりの方で「写生」は「井岡のような素人俳人が、異文化としての南の島をさっと写して持ち帰るのにまことにもってこいの方法であった。」なんて書いていたのだけれど、その頃は、まさか自分がその南方へ旅する機会を得るなどとは夢にも思っていなかった。いざ降り立って、こんな常夏の国で自分は俳句を詠む気になるのか、などとも考えたが、まあ、ポツポツと詠むものですね、生理的に。一日目は車窓からよく目にした光景から。