2015年11月2日

黒葡萄濡れる憲法九条も

子どもの頃住んでいた田舎では、近所に牛の仲買をする馬喰さんがいた。両親もまわりの人も「ばくろうさん、ばくろうさん」と呼んでいたので、苗字を思い出せない。
女の子が二人いた。おじさんはいつもちょっと偉そうに胸を張って歩いていたし「ばくろうさん」という響きが子ども心に怖くて、おじさんと出会うと母の上着の裾をぎゅっと握った。
てらてらと光る黒い牛が、何ケ月かに一度広場に放たれた。