秋の日やいろんな石のように鼻
職場の隣の席の上林さんは、定年後に請われて再任用された方である。棟方志功ばりに机にぴたりと眼鏡の顔を押しつけて、書類を調べたり電卓を叩いたりする。静かに丁寧な口調で話される。
上林「2.3日前から右足の親指が紫色に膨れ上がってきたんですよ」。
私 「どっかにぶつけられたとか」。
上林「そんな覚えはありません。糖尿病から痛風、心臓の薬も飲んでるので、また病気じゃないかと思ってね」。
上林「きれいなもんじゃないですが、ちょっと見てもらえますか?」。
(靴下を脱ぐと、親指が漫画のように腫れ上がっている)
私「薬の影響かも知れませんね」
上林「昼から総合病院に行って来ます…」。
翌朝、いつものように机に顔を押し当てて仕事をしている上林さんに、
私「どうでしたか?」
ものすごくうれしそうな顔を私に向けて、
上林「骨折してました」。