2016年3月19日

解体を待つ学校に春日差す

俳句を始めて、ずいぶん長い年月が経った。学生の頃松尾芭蕉の授業で教師が、次回は句会をしましょう。三句作ってきてください、が私が生まれて初めて俳句を作るきっかけだった。芭蕉のようには作れないと思いながら、創作の素地の無い私は、下校時に見かけた動物や植物を材料に作った。そこには、技術も情緒も無かったが、私にとっては、俳句の原点だ、と思っている。その時作った三句。残念ながら一句しか憶えていない。
シャム猫の石となりぬる冬隣
学校で授業を受けることは、きっともう無い。転校が多かったので、母校も少し多い。海真近の解体を待つ学校を見て、その建物は無くなっても在校していた生徒にとっては、永遠に唯一の母校なのだろう。