2016年3月18日

直立の車の記憶春寒し

五年前の三月に震災があり、被災地は時が止まったかのようだったが、四月に入り、時は震災以前と同じ速度で流れていった。仙台や名取の被災の様子は、三月中に目に留め言葉を失ったが、五月の連休に入り仙台新港へ出かけた。国道45号線を車で走ると、店舗の外観だけが残り、店内はすべて流された店や家屋がいまだ残っていた。仙台新港へ向う道路を右折すると、両端には直立したまま、あの日のままの自動車があった。家族や知人が乗っていたであろう、車を探しに来ている人もいた。五月の光景にもまた言葉を失ってしまった。三月の画像は灰色だが、五月の画像は色を伴い鮮明に脳裏に再生される。