2016年3月23日

うららかや化石にならぬ第二ボタン

卒業式の日、好きな人の第二釦を女の子がもらうのは、もはや現代では古典的な行いだと思っていたが、最近その場面に遭遇した。照れている二人を見て、何やらこちらも照れくさくなった。私はくださいと言ったこともないし、これからも言うことはない、と断言しながら、もう取り戻せない過去をほんの少し振り返った。まだ二人は言葉少なく見つめあっていた。