2016年3月22日

陽炎の出口を知らぬ乳母車

乳母車に乗れるのは、せいぜい三歳くらいまでだろう。スーパーなどで五歳くらいの子供がカートに乗りたがって何とか意を通そうとする姿を見かけるが、もはや体が収まらない。まだ一人歩きができない幼子が乗っている光景に出会い、敢えて乳母車という語を用いてみた。実際押していたのは、母ではなく祖母のようだった。祖母は歌を歌っていた。歌いながら幼子をあやし、何度も同じ道を繰り返し行き来するように、思えたがもうひとつ歌を歌い終えたら、きっと出口に辿りついているのだろう。