2016年8月9日

清原(きよはら)やあまり嬉(うれ)しく鈴(すず)(か)ひ足(た)

巻民代のこと②
彼女のことを巻民代と名付けてから、しばらく僕は彼女との共同生活を試みた。
共同生活者にはもう一人、Mという男がいた。彼は巻民代にひどく虐められていたが、彼女の句はその多くがMへの愛情から生まれたものだったらしい。というのも、Mが去ると彼女の句はどこか粗雑になったのである。
僕がMにきちんとした名を与えなかったのは、あるいは彼らへの嫉妬によるものかもしれない。