使い古してむささびとノート焼く
わたしの家には「ひもじい日」があった。
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ひもじい日 小学二年 みやざき りりか
わたしのかぞくは、父と母といもうとの四人です。わたしは、母のことを「はは」と呼び、父のことを「ちち」とよびます。わたしは、気に入っています。いもうとのまいは、四さいで、ちょっと泣き虫です。わたしは、いもうととおままごとをしてあそんでいます。わたしの家は、おもにゆりをつくっています。父と母はいつもなかよくゆりをつくっています。
わたしの家には月一回「ひもじい日」というのがあります。ほかのおうちにはない日です。
「はは、こんばん花の会があるき、ばんごはんいらんでー。」
と、父が言いました。母は、
「んー、わかった。」
と小さな声で言って、わたしたちの方を見てニヤッとしました。わたしといもうとのまいは、顔を見あわせて、
「今日は『ひもじい日』ながぁ。」
と、声をそろえて母に聞いてみました。すると、母は、
「なんで。」
と聞きかえしてきました。
「だって、ちち、ばんごはんいらんがやお。今月まだ『ひもじい日』しちゃあせんもん。」
と、わたしが答えると、母は、顔だけ笑いながら、
「ばんまでのお楽しみ。」
と言って、せんたくものをほしはじめました。それを聞いた父は、コーヒー牛にゅうをのみながら、
「どうも今日は『ひもじい日』にけっていやね。」
母と同じようにうれしそうにわらいました。父も母も、こんな時にわらう顔は楽しそうじゃないけれど、そのようすが気みがわるいかんじがします。わたしたちは、あんなふうに目だけでわらったりしません。
(つづく)