2017年9月1日

風魔来てひとふさ秋を編み上ぐる

●〈かたち〉のこと●

〈かたち〉が好きです。

〈かたち〉への興味は、まず平面から入りました。その後すこしずつ空間に目覚めてゆくのですが、いわゆる地殻変動的事件は2度あって、ひとつが中学生のときに美術教師が中原祐介『ブランクーシ』を貸してくれたことと、もうひとつが高校生のときに清家清『私の家』を目にしたこと。

ブランクーシには身体感覚のなごり豊かな抽象性があり、清家清には絶妙な雑然具合の、とてもセクシーな知性を感じました。この二人から、天上の音楽と日常の快楽とをそれぞれ教えられた、と言っていいかもしれません。

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スピカご愛読のみなさま、小津夜景と申します。今日から一ヶ月間、こちらに日記を連載する事になりました。この部屋にある〈かたち〉を中心に語りつつ、たまに昔の思い出や、雑多な話題を織り交ぜてゆくつもりです。一ヶ月間、ごゆるりとおつきあいくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。