2017年9月14日

忍者みな秋の風車を齧りけり

●〈かたち〉をまとう●

この町に来たばかりの頃、海辺を歩いていたら骨董屋がありました。何気なく足を踏み入れると、テーブルの上に彫りかけの熊が。おずおずと手にとったわたしに、店の主人曰く、

「その熊は、取り壊された、昔の風車の羽根を削ったものですよ」。

もと風車!? うーん、どうりで。

というのも、この熊に触ったとき、たしかに「役目を終えたもの特有の美しさ」というのを感じたからです。枯れた花のような。

かくして役目を終えた風車は大きな熊の〈かたち〉に衣替えし、我が家で隠居生活をすることになったのでした。