2017年9月27日

(しのび)手​をかざす夜討ちの​いなびかり

●いのちの素材●

鳥や羽根といったキーワードから自分が連想する芸術家は何人かいます。一番最近では小松宏誠あたり。本物の羽根をつかったこの方の作品はキネティックな​浮遊感覚に秀でています。

でもわたしが好きなのは、本物の羽根をつかわないディアナ・ベルトラン・エレーラ。張り子の胴体に紙の羽根を貼った鳥をつくる人です。

エレーラの作品は天然の美に頼らない分、審美的な邪念を免れたところで、創造の素晴らしさをシンプルに訴えかけてきます。一枚の紙から命が生まれることの感動、その命と感じるものが幻でしかないことの衝撃、そのせいでいっそう掻き立てられる〈かたち〉への希求。そういったことを感じさせるの​が彼女の作品です。

彼女のサイト​にゆくと、実際の制作過程​が大きな画像で​紹介されているのも嬉しい。オススメは各国の鳥切手シリーズ(Bird Postage Stamps)。背景となる切手の図案は、印刷ではなく紙の重ね貼り。そこへ鳥を添えて壁に飾ります。額要らずで便利ですね。

image : http://www.dianabeltranherrera.com/