2011年5月23日

青梅や帯解くやうに夜の明くる


事件も事故も時間を選ばない。だから、支局の全員で飲みに行くということもない。毎日当番制で泊まり勤務があって、誰か一人は支局で緊急事態に対応できるように準備しておく。
支局の奥にたたみの部屋があって、そこが仮眠室だ。一番最初にそこに入ったのは、しかし、泊まり勤務の ときではなく、ある日の夕方、あまりの疲労に自分の机で寝てしまって、上司から「五分寝てこい」と言われて案内されたときだった。
泊まり勤務の夜は、買っておいた漫画を読んだり、スピカに出す俳句を作ったりして過ごす。先週の泊まり勤務では、「3月のライオン」を読んでそのまま眠った。昨日は、仮眠室に入るのさえ面倒くさくなって、なんとなく自分の机でうつらうつらしていたら、空が漆黒の色合いを薄め、紺色になり、とうとう、さっと明るくなってしまった。結局、ネクタイもはずさなかったな、とあくびしたら気を失って、気がついたときには電話が鳴っていた。おかしい、社会人になる前は、電話はこんなにけたたましいものじゃなかったはずなのに。なんて考えるひまもなく、口元のよだれをぬぐい、あわてて受話器をつかむ―。
それが、今日一日の始まり。

 

 

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