2012年12月23日

山羊はすぐしつとりとした門になる     SSTbot

関悦史の回答

iijmさんからの質問
①短歌や詩など他ジャンルの創作に手を染めた(る)ことはありますか?

短歌は試作してみて、角川短歌賞の予選を通ったことが一度あります。
川柳は「バックストローク」誌の岡山大会に選者として呼ばれて、投句も自動的に参加。この時は、先日亡くなった石部明さん等、何人かの選者に抜いてもらいました(川柳大会で入選することを「抜ける」という)。
自由詩、小説はとっかかりがなく経験なし。

②俳句に「虚構」を詠むことはありますか?

年中。

③推敲にどの程度時間をかけますか?また、句を並べるとき意識していることはありますか?

推敲は作ってから〆切日までに一回、数十分程度。
並べて読んでガタついたら適当に配列を変えます。連作の場合は大体事態の進行順。

④③に関連して。それはいつどんな時にやりますか?通勤電車の中で、喫茶店で、あるいは夜自宅で、など。

自宅で、パソコンで。

⑤好きな本を3つ挙げてください。(句集、小説、漫画なんでも可)

中里介山『大菩薩峠』
中西夏之『大括弧―緩やかにみつめるためにいつまでも佇む、装置』
ドン・リチャード・リソ,ラス・ハドソン『性格のタイプ―自己発見のためのエニアグラム』

3点に絞れというのが無茶な話で、下記に挙げた海外の作家は全部除き、日本の純文学、SF、ミステリ、俳句も除いて、再読してみたいものに限定しました。
『大菩薩峠』は幕末を舞台にしながら20巻かけて明治維新まで辿り着かない、といって淀んでいるわけでもない時間感覚が、ほとんど“史上最長の俳句”。机龍之介は主要人物の一人に過ぎず、大勢の主要人物があちこち旅をしてはぶつかり合い、新たな因果が発生し続ける様が、世界-人生そのものといった感。ただし普通の人物がほとんどいない。俳句関係のイベントであちこち出ていくようになってからは、何となくこの小説をなぞっている気にもなります。
『大括弧』は現代美術作家のエッセイで、学生時代に読んで詩性と発見に富んだものだった気が。最近ご本人に会ったりもしたので読み返したいものの一つ。入手困難。
『性格のタイプ』はよくビジネス書になっている由来不明の性格分類法「エニアグラム」の研究書としてはおそらく最大のもので、9通りの性格類型それぞれの、最良の状態から最悪の状態までが段階を追って書かれるのですが、だんだんひどくなっていく様が、9通りの地獄巡りのようで、ドストエフスキーの長篇を読んだような疲労感を負わされることになります。これも入手困難。

⑥好きな音楽を3つ挙げてください。

2012年12月13日

⑦ 最近、「鉄鍋のジャン!」という漫画に嵌っています。この漫画では登場人物たちが「料理は伝統だ!」「料理はハイテクだ!」などと、自分のモットーを繰り 広げて料理バトルを展開するのですが、それに倣って自分の俳句のモットーを教えてください。例「俳句は写生だ!」子規

拙句に「独楽澄むや《現実界(レエル)》のほかに俳句なし」というのがあったので、「俳句は現実界だ」とでもしておきますか。

⑧最後にもう一つ。好きな海外の作家がいましたら教えてください。

特に印象的だった作品がある場合はそれも付けます。
並べてみたらやたらに多くなりましたが、要するに面白ければ何でもいい。

ミゲル・アンヘル・アストゥリアス『マヤの三つの太陽』
マックス・エルンスト(※『百頭女』他のコラージュロマンの作者として)
イタロ・カルヴィーノ
アレッホ・カルペンティエール
レーモン・クノー『あなたまかせのお話』
ジュリアン・グラック『アルゴールの城にて』
フリオ・コルタサル『石蹴り遊び』
ヴィトルド・ゴンブローヴィチ『フェルディドゥルケ』『コスモス』『トランス=アトランティック』
エルネスト・サバト『英雄たちと墓』『トンネル』
ナタリー・サロート
P・D・ジェイムズ『皮膚の下の頭蓋骨』
クロード・シモン『三枚つづきの絵』
エドモン・ジャベス『小冊子を腕に抱く異邦人』
アルフレッド・ジャリ『フォーストロール博士言行録』『超男性』
マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー
ブルーノ・シュルツ
ルイ=フェルディナン・セリーヌ
フィリップ・ソレルス
ウラジーミル・ソローキン『ロマン』『愛』
アントニオ・タブッキ
残雪
フィリップ・K・ディック『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』
アルフレート・デーブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場』
マルグリット・デュラス
ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』
ウラジーミル・ナボコフ
チェーザレ・パヴェーゼ
ドナルド・バーセルミ『死父』
J・G・バラード
マリオ・バルガス=リョサ『ラ・カテドラルでの対話』
ウィリアム・S・バロウズ『猛者(ワイルド・ボーイズ)―死者の書』
A・ピエール・ド=マンディアルグ
ミシェル・ビュトール
カルロス・フエンテス『澄みわたる大地』『アルテミオ・クルスの死』
ディーノ・ブッツァーティ『石の幻影―短編集』
レイ・ブラッドベリ
モーリス・ブランショ『アミナダブ』
バリントン・J・ベイリー『シティ5からの脱出』
サミュエル・ベケット『マロウンは死ぬ』『名づけえぬもの』
ジョルジュ・ペレック『人生 使用法』
ポール・ボウルズ『蜘蛛の家』
ロベルト・ムージル
パトリック・モディアノ
J・K・ユイスマンス『彼方』『出発』『腐爛の華―スヒーダムの聖女リドヴィナ』
H・P・ラブクラフト
タニス・リー『死の王』
J・M・G・ル=クレジオ
ミシェル・レリス『オランピアの頸のリボン』
アラン・ロブ=グリエ

名字50音順。好きとは言っても冊数そんなに読んでいない作家も混じっています。邦訳自体が1~3冊くらいしかなくて作家の全体像がよくわからない人もいますし。
ラーシュ・イェーレンステン(『青春』)、ヴェネディクト・エロフェーエフ(『酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行』)、ユーリ・オレーシャ(『羨望』『愛』)、アンナ・カヴァン(『氷』他)、カルロ・エミリオ・ガッダ『メルラーナ街の怖るべき混乱』※現行版の訳題は『メルラーナ街の混沌たる殺人事件』『ラ・メカニカ』他)、ギリェルモ・カブレラ=インファンテ(『亡き王子のためのハバーナ』『平和のときも戦いのときも』)、ピエール・ギュヨタ(『エデン・エデン・エデン』)、ピエール・クリスタン(『着飾った捕食家たち』)、マルセル・シュオブ(『黄金仮面の王』他)、ジェズアルド・ブファリーノ(『その夜の嘘』)、マッシモ・ボンテンペルリ(『わが夢の女』)、ルイージ・マレルバ(『皇帝のバラ』他)、マルタ・モラッツォーニ(『ターバンを巻いた娘』)、ハンス・ヘニー・ヤーン(『十三の無気味な物語』『木造船』)、クラリッセ・リスペクトール(『G・Hの受難 家族の絆』)とか。
他にこれからちょっと読んでみたいのがドン・デリーロ、ジョルジュ・シムノン、クリフォード・D・シマック、フレドリック・ブラウン。
しかしなぜ海外だけ?