磁気としてねむれるデータ冬の雨  冨田拓也

この世の中にITがあふれてきて、仕事も私生活にもパソコンは欠かせなくなったし、パスポートにすら磁気データが入っている。そのデータの中にも使用頻度の差があり、パソコンや携帯に触れない日々は稀だが、パスポートに触れない日は多いだろう。動かされることのなくなったデータをねむると表現したことで、再び起きるまでの安らぎの時間が見えて穏やかだ。冬の雨が静かに降ることで、それらの眠りを妨げるものはなにもないのだと感じる。

『俳句 第62巻第2号』(角川学芸出版 2013年1月号)より。