人間は滅び少女は跋扈せり
死ぬのが怖い。
暗い部屋、ひとりになった時に、
思考の隙間に死への恐怖が沁み入ってくる。
人はいつか死ぬ。
死ぬとは無になることだ(と少なくとも僕は思っている)。
どうせ僕らの生の果てが無であるならば、
どんなに美しく生きようと、
どんなに醜く生きようと、
恋をしようと、あきらめようと、
人を騙そうと、騙されようと、
すべての営みは無意味にはならないか。
そして、この無意味な営みの中で
いま僕が、あなたが、俳句を作る意味は何か。
以下、人間が登場する句をいくつか。
人類の旬の土偶のおっぱいよ 池田澄子
さらしくぢら人類すでに黄昏れて 小澤實
ヒト科ヒトふと鶏頭の脇に立つ 摂津幸彦
水仙やしーんとじんるいを悼み 永末恵子
佇ちなやむ人間といひあやめといひ 永田耕衣
下萌えぬ人間それに従ひぬ 星野立子
カテゴリー: 谷雄介 「平成俳風鳥獣戯画」
2011年6月の連載。