作品の下に貼られている「SST presents hike in three sounds ~俳句をうたう、かたる、となえる~」のリンクに飛べばイベントの様子がわかるが、《水涸るかマイクチェックに「は」「は」「は」》、《ラッパーの帽子すべすべ春隣》からも、そのイベントの臨場感が立ち上がる。ラッパーの句には、《ラッパーの順に振り向く師走かな》(長嶋有『春のお辞儀』 2014-4)を思い出す。
クラブの爆音の中にいると、声と言葉が遊離してしまっているようなときがある。名案の繰り返しの中で、声が音としてしか聞こえず、言葉として取るべく思考しなければならないような感覚である。
それは《虹のこと話せば話すほど曖昧》(『しやりり』ふらんす堂、 2013-12)とは、逆のことかもしれない。
カテゴリー: 安里琉太
安里琉太が、江渡華子・神野紗希・野口る理の俳句を読む。2016年5月連載。