早退やサンドイッチと冬の虹  神野紗希

記憶の断片をつなぎ合わせたようだ、と思った。

「早退」という出来事に、「サンドイッチ」を食べたような食べなかったようなことがあって、「冬の虹」も見えたような見えなかったような。そんな、不確かな記憶を綴っているようだ。「早退」の理由のだいたいは、体調不良だから、こんな気分なのだろうか。

前回の続きだが、この句はまさに遠い記憶の中にいるようだ。忘れかけていることを、思い出しているような、そんな遠さで、「早退」と「サンドイッチ」と「冬の虹」がつながっている。

「冬の虹」はやはり淡い光を放っていて、かすかな記憶を象徴しているようにも思う。