蓬の香残る風呂敷書を包む  橋閒石

本を包もうとした風呂敷に、蓬の香がまだ残っていた。春の明るい驚きを、語順を整えて多少抑制して表現したことで、単なる発見の報告に終わらず、ひとつの春の好もしい風景を描き出すことに成功している。

『橋閒石全句集』(白燕俳句会・平成十五年)より。第一句集『雪』所収の作。