蛍狩りに誘はれ長き髪を結う 江渡華子

この句なんかに現れている「率直さ・屈託のなさ を持つ主体」というのは、僕が現在持っている華子さんのイメージとかなり近い。全体の調べを ゆったりと描くことで長い髪の美しささえ見えて くるような気がするし、倒置法などを使いたくな りがちないわゆる「文章」に近い文体も、自然な 心のありようの延長線上にある気がする。
田島さんは「みんな、物語が大好きなんだな」と つぶやいたけれど(https://twitter.com/tajimaken/status/333132315893051393)、俳句には措辞と 内容があって(それらを厳密に分けるのは難しい けれど)、措辞を生かすために内容がある句と、 内容を生かすために措辞がある句の2パターンが存 在すると思っている。
前回&今回引いた句はいずれもどちらかというと 内容(物語)優先けれど、華子さんの句には措 辞のために内容が存在する句もたくさんある。明 日はそれを引くことにします。 (「蛍狩り」 2012.07より)