蝶々のひらひらした感じかよく見て取れる。自分の速度が、蝶より速くも遅くもない、普段の歩き方から見ると少し遅いくらいであることが、蝶との距離・峠道をよく表している。
私は蝶々がひらひらしすぎていて、来るなら来い、行くなら行けといらいらするので、もしこの作者の状態にいたなら、峠で歩きづらいわ蝶がひらひらしているわで、とてつもなくいらいらしていただろうなと思うが、「夏蝶の」としていることで、他の季節の蝶よりも勢いが見えて、いらいらが軽減される気がする。
句集『ファウルライン』(2012年 本阿弥書店)より。