アカペラのアルト消えゆく梅雨の星   浦川聡子

女声の最低音域であり男声の最高音域である「アルト」の独特の音階が耳に残りつつ消えてゆく。
伴奏のない「アカペラ」ならなおのこと、その調べが際立ち、
そして、消えてゆくところにまで思いを馳せることができるのだろう。
梅雨のころの厚い雲が少し開けたところに光る「梅雨の星」。
特に、アルクトゥルスというオレンジに光る星がよく見られるが、
星の名前の響きも、あたたかみのあるオレンジという色も「アルト」と響きあうようで楽しい。

『眠れる木』(深夜叢書社、2012)より。