畳から団扇をはがしあふぎけり  加藤かな文

「はがし」がうまい。団扇が畳に置かれてぺったりと貼りついている感じ、わかる。いかにも暑そう。「あふぎけり」だから、やっぱり暑かったんだ。

「家」142号(2013年7月)より。

同時発表作の「餡蜜の終の寒天掬へざる」、餡蜜の寒天というトリビアルな素材を「終の」と仰々しく詠みあげたおかしみがある。「ある、ある」という小さな感動。しかし、なぜ「蜜豆」ではなく「餡蜜」なのか。餡蜜のほうがぬかるんでるからかな。