天道虫背中開けたるまま歩む  山口昭男

こういう天道虫、いる、いる。

翅をたたむのをおろそかにして、道や草をよじよじ歩いていく天道虫。

またすぐに飛び立つつもりなのかもしれないし、天道虫にもだらしない奴がいるということなのかもしれない。その無防備な姿態は、愛すべきものとして、人のほほ笑みを誘うだろう。しかし「背中開けたるまま」という表現は、どこか隔靴掻痒感が残る。あの状態を「開ける」というべきだろうか。

第2句集『読本』(ふらんす堂 2011年6月)より。田中裕明の「ゆう」時代の句から、現在(「秋草」創刊・主宰)までの9年間の句を集めている。しずかな水の上にいるような、ひんやりとした質感に包まれた一冊。ほかに「鎌の刃に露草の花のつてゐる」「水中へ折れし光やちやんちやんこ」「くるぶしのひやつと昼の木槿かな」「鶏眠る桔梗の花に近ければ」。

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