掃除か何かをしていて、手ぬぐいをぎゅっと絞ったとき、冬日がぎゅっと濃くなったように感じられたという、感覚的な一句だ。冬は日差しが乏しいので、手ぬぐいを絞ったときに滴るほんの少しの水ほどの光量が加えられただけでも「冬日強くなる」と感じられるのだろう。手ぬぐいを絞ったときの、手元にこめた力の感覚が、冬日をこいねがう強さと重なる。
第一句集『薫風』(ふらんす堂2013年7月)より。そのほか惹かれた句をいくつか。
棒稲架や星の光は一揆めき
菜の花のはみだすはがき届きけり
切株は春の母音の中にあり
川岸の冬芽と呼吸する私
蝉しぐれ降る切株は母の国
水切りの水の行方に秋思あり