セレクション俳人プラス新撰21(邑書林 2009年)より引いた。
「は」と「な」という字が似ている・・・と小さい頃から自分の名前を書くたびに思っている。はつなつとひらがなで書かれることにより、「は」と「つ」と「な」の関係がリフレインではないのにリフレインに思えてくる。表記による面白さもあるが、「かいとおもいしかいなかな」と同じひらがなを使うことによる音のリフレインもあり、面白い。
この世は水で満たされていて、人はそれぞれの舟に乗っている。たまには自分の舟に他人も乗ってくるのだろう。そんな不思議な世界観と抒情を感じることができる。手で方向性をつかみ、進むという理屈っぽい考えはいらない。舟より垂らした白い腕の形状が櫂に似ている、それだけで充分な句だ。