目に入る汗だれよりもわれが好き  加藤静夫

この自己愛、ナルシシズムというきざな言葉では足りない。「目に入る汗」すらも愛しているのだ。ダラダラと、目に入るほどの汗を流して、髪もTシャツも汗でべったり、人が見たら決して選ばれないだろう今の自分の風貌すらも「好き」と言えてしまうこの完成された彼の世界に、賛辞を贈りたくなった。

「鷹」2013年10月号より。