水の秋水に棲むもの銀の唇   萩澤克子

「水に棲むもの」というと、まず魚を思い浮かべるだろうか。
魚はふつう体全体銀色であるが、中でも「唇」を切り取ったところになまめかしさがある。
蛙や蜥蜴などの爬虫類も、単純に陸に棲むものよりも銀色を感じられるだろう。
「銀の唇」を見せることによって、澄んだ秋の水がより透き通りしなやかに見えてくる。
ぶつんぶつんとした文体も、秋という大きな景から唇へズームしていく効果があるようだ。

『母系の眉』(鬣の会、2013.8)より。