忘却とは長いながい焚火のけむり   長谷川秋子

焚火の煙を眺めつつ、さまざまなことを思う時間。
忘れてしまってもう思い出すことも叶わない「忘却」を「けむり」に重ねることで、
ここで燃えている炎や灰になりつつある落葉や紙くずなどが、
失われつつあるけれども今たしかにあるものとしてくっきりとしてくる。
それは少しの不安を帯びつつも、穏やかで静かな時間だ。

「古今俳人手帖 長谷川秋子」(『俳句αあるふぁ 12-1月号』毎日新聞社、2013)より。