金時計揺るるは眠し榠樝の実   藤田かをる

新品でなく少し色がくすんできた「金時計」の威厳はなおさらのもの。
「金時計」が揺れるのは眠くなっているからだという把握が大胆で面白い。
時計にも眠さがあるという発見と、それを揺れであらわすという表現。
眠くて揺れる「金時計」を見ているこちらも眠くなってくる。
かぐわしい香りを放ちつつ固く渋い「榠樝の実」と「金時計」の取り合わせも絶妙。

『舞 新年特別号』(舞俳句会、2013.12)より。