豚逃げて遊ぶといふも炉を立たず   高野素十

豚小屋から豚が逃げたと聞かされても動かない飼い主。
よっぽど寒く「炉」のそばを離れたくないのか、話が盛り上がっているのか。
単に豚が逃げたというだけではなく、さらに遊んでいるというのが可笑しい。
人間も豚ものびのびとしていて明るい農村の雰囲気が伝わってくる句。

日原傳著『素十の一句』(ふらんす堂、2013.10)より。