あれが星であるならこれはタンポポ 青山ゆりえ

当たり前だと思っている、目の前の星やタンポポを、「あれ」「これ」と呼び、「であるなら」と仮定的なものに引き戻すことで、星やタンポポの一回性を強く感じさせる句だ。あの星の光にも、このタンポポにも、今この瞬間にはじめて出会い、そして二度と出会うことはできない。刹那的で不確定な、しかしそこにたしかに見えているという不思議を丁寧に掬い取り、私たちが生きている不思議にまで手の届く一句となった。
世に星菫派という言葉があるが、それになぞらえれば、ゆりえはさしづめ“星タン派”。
昨日にひきつづき、2013年の年末に届いた、広島県立広島高校俳句部の句集「星果てる光」より。