蔓たぐる葉が粉々に散らかつて   依光陽子

フェンスに巻き付く「蔓」だろうか、それを引きはがす作業風景。
「蔓」をたぐる上で犠牲になっていく「葉」。ぼろぼろに「粉々に」なる。
「散らかつて」という言葉に、失われゆく「葉」への愛のなさが感じられる。
犠牲になる「葉」を見送ってでも「蔓」をたぐるという行為のみ描くことによって、
その先の光とも闇ともつかない、ただ今とは違う世界につながる予感が残る句。

特別作品50句「柱石」(『クプラス 第1号』クプラスの会、2014.3)より。