無礼ていやがる水槽鮫のどんより眼   鈴木明

「無礼」に〈なめ〉とルビ。
水族館の水槽の中の鮫と対峙する人。
「水槽鮫」とは思い切った言葉で、まるでそういう種類の鮫がいるようだ。
かつて鋭い眼光を放っていたであろう鮫も閉じこめられ「どんより眼」になっている。
鮫が鮫らしくないことは礼を尽くしていないということか。
「無礼ていやがる」という強い言葉からは、
目の前の鮫だけではなくあらゆるものへの苛立ちが感じられるだろう。
水槽に映るその人の眼はどんな風だろうか。

高山れおな選「鈴木明五十句」(『クプラス 第1号』クプラスの会、2014.3)より。