かなかなといふ菱形の連なれり  鴇田智哉

かなかなの小さいからだを大雑把につかめば、視覚的に菱形に見える、という風にも解釈できる。
でも、私は、かなかなの声が菱形なのだ、ととりたい。
かなかなのあの縷々と届いてくる声。まっすぐに届くようで、鋭い声というよりはどこか幅をもっている声。そんなかなかなの声をもし形象化するとしたら、きっと菱形をしているだろう、という提案に、私も乗りたい、と思った。
整っていながら、少しいびつな菱形。夕日はまだ熱く、風は涼しい、そんなちょっとぎくしゃくした秋のはじめの夕暮の気分にぴったりだ。

週刊俳句378号(2014年7月20日)10句作品「火」 より。