やがて死ぬ蝉 生卵ごくり  江島成実

生きているものはすべていずれは死ぬもので、それは当然のことだが、生きているものをやがて死ぬと改めて意識するということは、どういう感情だろうか。この場合、きっと蝉は思いっきり鳴いている最中だっただろう。うるさいな、早く静かにならないかな。そう思って、いやいや、あいつらは自分よりも寿命がはるかに短い。もう少し待てば静かになる。そう当たり前のように思い、他の生物の死を願ったりする自分の昏さに驚いたのではないだろうか。対比させているような生卵も、結局は生まれてすぐの「死」を意味している。けれども、それをごくりと飲み込むことで、自分の意識を「生」の方向へ向けるのだ。ごくりという、重たい擬音が体感をリアルに表現できていると思う。

2014年俳句甲子園入選句より