はつなつの版画の森の昏さかな 玉城涼

「はつなつ」「版画」の「は」の頭韻が、句のリズムを作り出している。明るく始まって、「も」りの「く」らさと、だんだん発音する口の形が小さくなってゆくのが、版画の森の昏いところへと意識が吸い込まれてゆく感覚を自然に伝えてくれる。版画ってそもそも昏い。森ならなおさら。万物の明るいはつなつに、ひとつだけ昏いものがあるとしたら、それは「版画の森」、って言われてるような気がして素敵。

俳句同人誌「群青」5号(2014年9月)より。