身に入むや白墨の音こつこつと   利普苑るな

授業中の景だろうか。先生が板書をしているのを見ている様子とも読めるが、
この人自身が指を汚して「白墨」を握っていると読みたい。
冷たく汚れていく指と、自分自身の身が乖離しているような不思議さ。
「こつこつ」という硬い音の冷たさ、広い黒板の前に立つ心細さがありありと浮かぶ。

『舵』(邑書林、2014.9)より。