塀ぎはの紫陽花猫を濡らしけり   津高里永子

塀のそばに咲く「紫陽花」とその近くを通る「猫」。雨上がりの光景だろう。
紫陽花の花ひとつひとつにある雨のしずくがきらきらと美しい。
「塀」と「猫」の句といえば《冬空や猫塀づたひどこへもゆける   波多野爽波》だが、
掲句と重ねると、どこへもゆけない「紫陽花」が雨粒を「猫」に託しているようで、
うっすらと切なくもあたたかな気持ちになる一句。

「友引」(『俳句新空間 No.2 ―BLOG俳句空間媒体誌―』2014.8)より。