みずうみは大いなる翅朝曇  高野ムツオ

みずうみが一枚の大きな虫の翅のようだと見立てることで、こまかな皺が寄るように小さなさざ波が立つ、みずうみの平らな光が見えてくる。朝曇で光量を抑えたことで、その皺の部分が際立って、虫の翅の脈のようにぎらりと照りはじめる。やはり、高野ムツオは、「虫」の人だ。

「小熊座」2014年10月号より。