柿喰ふや生きるとは音立てること  利普苑るな

食べる、走る、風呂に入る、排せつする、鼻をかむ―。
どんなことをしても生きている限り音を立てる。その中でも柿を喰う、という「食」を取り合わせて「生きるとは―」と感慨を深くするのは、いろいろな動作の中でも生きるということに直結せざるを得ないのが「食べる」という行為だからか。「咀嚼音は生きている限り続く淋しい音だ」と言ったのは能村登四郎だったか。正確な引用ではないけれど。

柿を喰う、というところから子規を思い出しても良い。

句集『舵』(2014年 邑書林)より。